近年、コロナ禍などでライフスタイルが変化しています。それに合わせて、住宅業界のマーケティングも変化が必要とされています。一見、マーケティングというと苦手意識を持つ方も多いでしょう。しかし、戦略の立て方や分析方法を知っておけば、決して難しいものではありません。
この記事では工務店にマーケティングが必要な理由や、具体的な進め方を解説します。役立つ分析方法や集客手法のほか、ファン化を成功させるコツもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそもマーケティングとは、売れる仕組みづくりのことを指します。工務店にマーケティングが必要な理由は、下記のように成約に至るまでに多くのフェーズが存在するためです。
したがって、フェーズごとに適切な施策を実施する必要があります。
また、工務店の商品やサービスは決して気軽に購入できるものではありません。生活に大きな影響を与える分、見込み顧客も慎重になります。そのような心情を踏まえ、少しずつ信頼関係を築き、成約につなげるためにもマーケティングは必須といえるでしょう。
工務店のマーケティング戦略を設計する手順を、3つのステップに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずは、下記の項目を中心に、これまで実施した施策を振り返りましょう。
また、見込み顧客や既存顧客の層も確認し、次項につなげます。
最近では、インターネットで簡単に商品やサービスの情報が入手できるようになりました。それゆえ、競合と比較された際に「安い」「性能が良い」だけでは埋もれてしまいます。
現状分析で得たさまざまなデータをもとに、自社ならではの強みとターゲットをコンセプトとして設定しましょう。
コンセプトの決定後は、具体的な施策を検討・実行します。施策は大別すると、オンライン施策とオフライン施策の2つです。
オンライン施策はインターネットを用いた施策であり、エリアを限定せず、多くの方に訴求できます。一方、オフライン施策はエリアが限定されるケースが多いものの、伝えたい情報を確実に届けられます。いずれの施策を実行するにしても、PDCAサイクルを回しながらブラッシュアップすることが大切です。
工務店のマーケティングで使える、基本的かつ代表的な分析手法を3つ解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
分析内容 |
分析内容の例 |
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自社 |
①価格帯 ②デザイン力 ③気密性・断熱性 ④耐震性 ⑤アフターサービス |
①坪単価60万~65万(延床面積) △ ②ヴィンテージスタイルが得意 △ ③現場発泡断熱材使用 ○ ④耐震等級3級 ◎ ⑤最長30年保証・24時間受付対応 ◎ |
競合 |
①価格帯 ②デザイン力 ③気密性・断熱性 ④耐震性 ⑤アフターサービス |
①坪単価50万~55万(延床面積) ◎ ②高級感あるスタイルが得意 △ ③セルロースファイバー使用 ○ ④耐震等級2級 △ ⑤20年間保証 △ |
顧客 |
①価格帯 ②デザイン ③気密性・断熱性 ④耐震性 ⑤アフターサービス |
①坪単価50万~55万(延床面積) - ②カントリー風 - ③ - ④耐震等級3級 - ⑤20年間保証以上 ○ |
3C分析は、顧客を含めた社内外の環境分析時に役立つ手法です。マーケティングにおける最も基本的なフレームワークであり、最低限まとめておきたい事項でもあります。
プラス要因 |
マイナス要因 |
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内部環境 |
強み |
弱み |
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外部環境 |
機会 |
脅威 |
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SWOT分析は3C分析と同様に環境分析に秀でていますが、特に自社の強み・弱みを抽出する際に役立つ手法です。3C分析の分析結果と統合し、次項のSTP分析につなげるとより効果的です。
手順1.セグメンテーション 市場の細分化) |
市場やカスタマーをニーズや属性に分けること |
手順2.ターゲティング (ターゲットとする市場選定) |
セグメンテーションした市場やカスタマーから、自社のターゲット層を選定すること |
手順3.ポジショニング 自社の立ち位置の明確化) |
競合と比較して市場での自社の立ち位置を決定すること |
STP分析は、マーケティング戦略を立案する際に活用する手法です。分析手順は、大きく分けると3つになります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
デモグラフィック(人口統計) |
性別・年齢・家族構成・出身校などの属性情報 |
ジオグラフィック(地理的変数) |
国・都道府県・慣習・宗教など、エリアに基づくもの |
サイコグラフィック(心理的変数) |
価値観・趣味嗜好・ライフスタイルなど、心理に基づくもの |
ビヘイビアル(行動変数) |
購入履歴・購入場所・購入頻度など、行動に基づくもの |
セグメンテーションはターゲット層を明確化するために、市場や顧客を分ける工程です。セグメンテーションを進める際は、主に4つの指標をもとに分類します。
ターゲティングは、セグメンテーションした市場や顧客から自社のターゲット層を選定することです。具体的には、次に挙げる3つの方法があります。
この際、下図にある6Rという指標をもとに選定を進めると、より成果が上がるターゲット層を抽出しやすくなるでしょう。
Realistic scale(市場規模) |
自社の商品やサービスの市場規模 |
Rate of growth(成長性) |
市場の成長率 |
Rival(競合状況) |
競合の商品やサービスのシェア |
Rank(優先順位) |
ターゲットに対して優先度が高いものか |
Reach(到達可能性) |
ターゲットにアプローチできるか |
Response(測定可能性) |
効果を測定できるか |
価格 |
デザイン |
気密 |
企業規模 |
販売実績 |
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自社 |
高い |
良い |
良い |
小規模 |
少ない |
競合A |
高い |
良くない |
やや良い |
大規模 |
多い |
競合B |
低い |
良い |
悪い |
中規模 |
多い |
ポジショニングとは、競合と比較して市場での自社の立ち位置を決定することです。価格や性能といった競争軸をもとに、自社が優位となるポジションや強みを明確にしていきましょう。
工務店の集客に効果的な手法は、オンライン施策とオフライン施策の2つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
【関連記事】工務店の集客施策10選!ホームページなどの活用方法や成功事例を解説
オンライン施策は、下記に挙げるようなインターネットを活用する施策のことです。
施策の実行後に効果測定を進めやすく、オフラインよりもコストが比較的低い点が魅力となっています。
オフライン施策は、下記に挙げるようなインターネットを使わない施策です。
エリアは限定される傾向にありますが、不特定多数の人々にリーチできる分、認知拡大につながる点が大きなメリットといえるでしょう。
工務店のファン化成功後に実施したい施策は、主に次の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
専門的な知識を持つ営業と直接会うことで、見込み顧客が持っていた先入観や不安を打破できます。
住宅の購入はローンや土地なども関わり、知識がないと失敗してしまうことも少なくありません。そのため、まずは営業の初回接客を促しましょう。
契約後も、継続的なフォローを欠かさないようにしましょう。契約までの時間よりも、住宅に住んだ後の時間の方が長いためです。もし、アフターサービスに不満があると、それが工務店の評価となってしまいます。
悪い口コミはマーケティングに悪影響を及ぼします。逆に、アフターサービスが良ければ、良い口コミが広がるのはもちろん、新規顧客の紹介にもつながるでしょう。
商談した顧客や、契約後のオーナーへの満足度調査も必ず実施しましょう。
得られた情報は、自社の強み・弱みだけでなく、改善点の明確化にも役立つためです。また、オーナーの声をWebサイトなどに掲載すると、検討段階にある見込み顧客の良い判断材料にもなります。
工務店にマーケティングが必要な理由はフェーズごとに適切な施策を実施し、成約につなげるためです。また、調査や分析の過程で得られた情報は、自社の商品開発やサービス改善にも役立てられます。工務店の集客を成功させ、売上拡大を図りたい方は、マーケティング戦略を設計していきましょう。
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